41.デジタルアート 2018/09/21 (金)

 
1 先日の休日に、県立美術館分館に出かけたところ、パソコンを使ったデジタルアート教室の作品展が行われていました。
 作品の多くは、まだ勉強中ということなのか、殆どが浮世絵を模写したもので、芸術表現において一番の核となる、
 ギリギリで追求した自分の表現のテーマと表現意図が、殆ど伝わってこなかったのは残念でした。


2 最近のデジタルアートの技術的発展は著しく、ペインティングソフトなどを使えば、油絵、水彩画、パステル画、水墨画などの
 絵の種類は勿論のこと、筆の大きさやタッチ、色彩にも多様な選択肢があり、非常に驚かされます。
 キャンバスや絵の具代も必要ありませんし、修正も自由自在で、作品の保管スペースも不要なので、大変便利ではあります。


  六本木の国立新美術館で開催された大規模な展覧会を訪れると、デジタルアート部門の展示コーナーなどもあって、
 その表現の緻密さや配色の凄さに感心するものもありました。
  しかし、その一方で、なんだデジタルか、デジタルなら少し勉強をすれば誰でもこれ位の作品は描けるといった感想があるのも事実ですし、
 プリントが平板でマチエール(画肌)が出ませんので、表現力に物足りなさを感じる人も多いかもしれません。


3 また、最近は3Dプリンタの技術の発達も目覚ましいものがあって、先日はアメリカで3Dプリンターで実弾を発射できる
 樹脂製の拳銃が簡単に作れるようになったとして、その設計図をネットに掲載することの可否が裁判になっていました。
  私も、東京に行った際に、1万円もしないくらいで3Dプリンタを使って自分の顔のフィギュアを作ることができるベントが開催されていましたので、
 申し込んだことがあります。大きな箱に自分の顔を入れると、自動でカメラが一周して撮影を行い、
 画面上で髪型や服装を選択して1時間もすると、驚くほど自分の顔にそっくりなフィギュアができあがりました。
 フィギュアの写真は右上のとおりで、大きさは10cm程度ですが、私の顔の特徴がよく出ていて気に入っているので、今でも自室に飾っています。


  これまでは、彫刻家や職人などが長い時間をかけて技術を習得し、修練を重ねて、彫刻や工芸品、
 道具の作成を一生の仕事として誇りを持って取り組んでこられましたが、これだけ技術が発展すると、
 これからは、もし等身大の人間の彫刻を作るにしても、人間が長い時間をかけて手で作ったものと、
 3Dプリンターが僅かな時間で作ったものとを外形的に区別するのはになるでしょう。
 人間が作ったものと3Dプリンタで作ったものとで果たしてどちらが芸術的に優れているかについての評価も、
 かなり困難になるだろうと思われます。そして、今後は3Dプリンターを使った作品もかなり多くなると思われます。


4 右下の写真は、私の妻がかなり前に作った、私の撮影行の人形です。
 高さは30cm以上あり、私の特徴の本質を上手く捉えているので、これも自室に飾っています。
 3Dプリンターで作った私のフィギュアと比べてみると、顔の造形は3Dプリンータの方が優れているものの、
 やはり妻の人形の方が、時間をかけて色々な思いを込めて作ったものですので、
 私の特徴や性格、意思などの本質をより表現できていると思っています。


  世界のどの分野においても、テクノロジーの発達は予想もできないスピードで進んでいます。
 新しい時代の新しい技術を参考にしながらも、最も重要な自分の表現活動の本質を外れることがないように、
 今後も自分なりの独自性のある表現活動を模索していきたいと考えています。