27.クレジット名義貸し判決(最高裁H29.2.21判決) 2017/05/30 (火)

 消費者問題ニュースNo.176を読んでいたところ、クレジットの名義貸し事案に関する最高裁H29.2.21判決が解説されていましたので、興味深く読みました。


1.クレジットの名義貸しとは、販売業者が知人(名義人)などに「お客が商品を購入するがローンが組めない。支払の方は責任を以ってするからクレジット契約の名義を貸して欲しい。」とか、「資金繰りが苦しいので、商品を買ったことにして名義を貸して欲しい。支払は責任を以ってするから。」などと説明し、名義人がこれを信じて、販売業者と自分との間で売買があったものとして、信販会社との間で立替払契約(クレジット契約)を締結し、信販会社からの売買の内容等についての電話での意思確認にもその旨の虚偽の応答をするというものです。販売業者は破産したり逃げたりして払えなくなってしまうので、信販会社から名義人に支払請求が来ることになります。


2.この点に関する従来の裁判例の多くは、名義人が信販会社からの電話確認に対して虚偽の応答をし、信販会社はこれを信用して立替払いをしたことを重視し、名義人は信販会社に対して信義則上立替払金の支払いを拒否することはできないとしていました。
しかし、今回の最高裁判決は、①不実告知による契約取消しについては、クレジット契約の名義貸しであっても、契約締結の媒介行為を行う販売店業者による不実告知があった場合には、クレジット契約の取消しを認めることができる、②ローンを組めない高齢者のためであり、売買契約や商品の引渡しが実在することや、支払については絶対迷惑は掛けないなどと告げることは、判断に影響を及ぼす重要事項に当たると判断し、その結果、③割賦販売法35条の3の13所定の不実告知を理由とする契約の取消しを認めています。


  そして、平成20年の同法改正前のクレジットの名義貸しの事案では、名義人から同法旧30条の4所定の抗弁の接続の主張がなされたのに対し、この判決は、個別のクレジット契約の媒介者である加盟店が虚偽説明により名義貸しを依頼した場合は、これを誤認した名義人は契約取消しの保護を受けるべき対象者であるとして、抗弁の接続の主張が信義則違反になるかどうかについても原則として保護される対象者と捉えるべきだと判断しました。
名義貸しに応じた動機やその経緯を前提としてもなお抗弁を対抗することが信義に反するかどうか等につき更に心理を尽くさせるために、原審差戻としました。これは加盟店の違法勧誘行為による損害は、媒介を委任した事業者が負担すべきだという消費者契約法第5条の考え方です。
抗弁対抗を主張することが信義則に反するとして制限されるのは、「クレジット契約の不利利用によって信販会社に損害を及ぼすことを認識しながら積極的に加担したような背信的事情がある場合」をいうとされていますので、原審ではこの点についてまた審理がなされて判断されることになります。


3.世の中や立法の動きに応じて判例の判断も動いているということで、実務家としても注意しておく必要があります。