23. 監視社会への警告 2017/04/25 (火)

 先日、私の事務所で弁護修習をしたI弁護士から「スノーデン 日本の警告」という集英社新書の書籍が送られて来ました。
 I弁護士は、東京丸ノ内の法律事務所に就職し、現在はアメリカに留学中ですが、法律家、学者、ジャーナリストらをパネラーとした「信教の自由、プライバシーと監視社会」シンポジウムで司会を務めて、
この内容が書籍として出版されたので、わざわざ送ってくれたものです。この親書は、先日の朝日新聞の書籍広告欄に大きく掲載されていました。


 スノーデン氏は、アメリカのスパイだった人で、同氏によれば①9.11の同時多発テロ事件により世界は一変し、テロの恐怖が世界を覆い、テロ対策と名がつけばあらゆる監視が許されるようになり、テクノロジーの飛躍的進化により、想像を絶する監視政策が進められている、②政府は、グーグル、フェイスブック、アップル、マイクロソフトなどのインターネットサービスや、通信事業者の設備にアクセスすることが出来、テクノロジーの発達によりすべての情報が傍受されて、自動的に「メタデーター」という情報が保存され、無差別、網羅的な監視である「マスサーベイランス」が行われている、③その結果、政府は、国民の一日の位置情報(行動)や、ネットの検索項目によりどんなことに興味を持ち、どんなことを考えているか、誰と連絡し誰と一緒にいるかの情報などを探ることができる、④テロリストだけでなく、人権活動家や弁護士、ジャーナリストなども監視されている、⑤このように、政府が市民の討議と議論を経ないで監視活動を行っていることは、個人の権利と民主主義を崩壊させかねず、私達の自由な社会を極めて危険な状態に陥れている、などというものです。


 タイムリーにも、今日の夜のNHKのクローズアップ現代で、スクープとして「スノーデンの日本ファイル」が明らかになったとして取り上げていました。その内容は、①NSA(アメリカ国家安全保障局)は、日本も諜報の対象にし、ファイブ・アイズ(イギリス・オーストラリアなど)と情報を共有していた、②横田基地の諜報通信施設や人件費なども約5億ドルも日本政府が費用負担した、③大量監視プログラム「Xley SCORE」は日本にも提供されていて、市民の電話、メール、SNSなどの大量な情報の監視が可能となっている、というものでした。


 日本でもマスサーベイランスが行われているのか、またどの程度の監視活動が行われるのかについてはよく分かりませんが、民事事件では捜査機関が多くのイスラム教の人々の個人情報を収集していたことが認定されていますので、監視活動が行われているのは事実のようです。
 スノーデン事件を受けて、平成25年には国連では加盟国は監視活動について独立して効果的な監視機関を設けるべきだとの国連総会決議がなされ、日本では平成28年に個人情報保護委員会が設置されているようですが、どれだけチェック機能が働いているかは分からないようです。
 この監視社会の問題は、スノーデン事件で注目を浴びるようになったものの、一般には私も含めてまだまだ監視社会であることの認識と危機意識は低いように思います。監視活動に対しては、逆に国民やジャーナリズムなどが監視し監理していくことが必要ですが、これをどうやって行くのかは今後の課題としてなかなか難しい問題です。
 I弁護士の益々の活躍を期待しています。日本を少しでもいい社会にするために頑張って下さい。